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第1回 スペイン・パエリア

第1回 スペイン・パエリア

2020/05/25

 世界各国には、その国ならではの料理があり、海外旅行では食事を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。料理を食べることは、ただ単に味を楽しむというだけではなく、その国や土地の歴史、文化、暮らしを知ることにもつながります。
 このコーナーでは、そんな「料理」をテーマにした世界旅行へと皆さまをご案内します。最初の目的地は「スペイン・アリカンテ留学体験記」の舞台でもあったスペイン。「ボカディージョ」と呼ばれるサンドイッチやスペイン風オムレツなど、様々な名物がありますが、中でも代表的な「パエージャ(Paella:パエリア)」をご紹介しましょう。

実は山の幸がメイン!? 伝統的な「バレンシア風パエリア」

 スペインの代表的な料理といえば、サフランで黄色く染まったご飯に、海の幸がのったパエリアを真っ先に思い浮かべる方も多いかと思います。しかし、元々パエリアはバレンシア地方の郷土料理。伝統的な「バレンシア風パエリア」には、インゲン豆、カタツムリ、ウサギ肉や鶏肉などの山の幸が使われます。


バレンシア風パエリア。元々「パエリア」とはバレンシア語で両手のついた浅いフライパンを意味します。

 このバレンシア風パエリアが、観光業の広がりにともない、様々に変化しながらスペイン全土に広がっていきました。

パエリアの発祥地・バレンシア地方ってどんなところ?

 パエリア発祥の地と言われるバレンシアは、スペインの南東に位置し、温暖な気候に恵まれた地域です。8世紀にイスラムの支配下に置かれましたが、その際に灌漑技術が伝えられ、豊かな農業地帯として発展してきました。
 「留学体験記」でたっぷりとご紹介したアリカンテもバレンシア地方にある街。そのお隣にあるバレンシア市は、マドリード、バルセロナに次ぐ第3の都市と言われ、「ラス・ファリャス(Las Fallas)」という火祭りで有名です(スペインのお祭りについて知りたい方は「留学体験記」のVol.4-1Vol. 4-2をチェック!)。


バレンシア市の街並み。歴史あるカテドラル(聖堂)から、建築が魅力の複合施設「芸術科学都市」まで揃った、
古きと新しきが入り混じる街です。

 また、バレンシア地方はパエリアの発祥地であるだけでなく、カヤツリ草と呼ばれる植物の地下茎から作られる甘いドリンク「オルチャータ」の本場でもあります。オルチャータは日本でも購入できるうえ、色々なウェブサイトでレシピが公開されています。次のお休みにはパエリアとオルチャータをおうちに揃えて、テラスでスペイン気分を楽しんでみてはいかがでしょうか。


シナモンを加えて作るオルチャータ。優しい甘さを楽しんで。

 さて、スペインの美味しいパエリアでお腹を満たした後は、次なる目的地「美食の都・イタリア」に出発です。自由に外に出られない日々が続きますが、このコーナーを通じて、ご家族で旅気分を味わっていただけたら嬉しいです。次回もどうぞお楽しみに。

[Reference]
「世界の食文化 14 スペイン」立石博高著 一般社団法人 農山漁村文化協会
「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」沼野恭子編 東京外国語大学出版会
スペイン政府観光局

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