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第2回 イタリア・ピザ

第2回 イタリア・ピザ

2020/06/12

 日本でもよく親しまれているイタリア料理。中でも、チーズやトマトをのせてこんがりと焼いた「ピッツァ(Pizza:ピザ)」は、子どもから大人まで、多くの人に愛されている一品です。今回はそんなピザにまつわるお話をお届けします。

みんなの人気者・ピザがたどってきた歴史

 ピザのルーツは、紀元前3000年頃の古代エジプトにあると言われています。小麦粉を水で溶き、発酵させ、平らな丸い形にして石窯で焼いたパンが世界各地に広がり、様々な地域の食文化に影響を与えました。
 イタリアでは、このパンを原型とし、小麦粉の生地に塩やニンニクを混ぜて焼いた、現在のフォカッチャに近いものが16世紀に登場します。しかし、「Pizza」という名前で広く普及していったのは、トマトがトッピングされるようになってから。16世紀後半から17世紀に、イタリア南部でトマトが栽培され始め、その後、ナポリという町で、モッツァレラチーズ(水牛のミルクが原料)とトマトをのせたピザが生まれました。

 ナポリで有名なピザといえば「ピッツァ・マルゲリータ(Pizza margherita)」。イタリアを統一したウンベルトI世の王妃・マルゲリータが、1889年にナポリを訪れた際、このピザを献上され、大変気に入ったことから、その名が付けられました。

ピッツァ・マルゲリータ
トマト、バジル、モッツァレラチーズがトッピングされたピッツァ・マルゲリータ。
赤・緑・白の色合いが、まるでイタリア国旗のようです。

ピザの発祥地・ナポリってどんなところ?

 南イタリア最大の都市・ナポリ。ギリシャの植民地として紀元前470年に誕生し、ヨーロッパ・地中海地域の文化を広く吸収してきました。12世紀に建てられたヌオーヴォ城、美しい中庭が魅力的なサンタ・キアラ教会などが残るナポリ歴史地区は、1995年に世界遺産に登録されています。

ナポリの街並み
雄大なヴェスヴィオ火山に見守られた、ナポリの街並み。

 ナポリの料理と聞いて、ピザの他にケチャップ味の「スパゲッティ・ナポリタン」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、この料理は実は横浜生まれ。ナポリの名がついた、ナポリ生まれのパスタは「スパゲッティ・アッラ・ナポレターナ(Spaghetti alla napoletana:ナポリ風パスタ)」と呼ばれ、ケチャップではなく、トマトがソースに使われています。

ナポリタン
ナポリタンは、終戦後、アメリカ兵の食文化から生まれたと言われています。

 さて、家族や友人とイタリア料理を存分に楽しんだ後は、ピザの原型が生まれた地・エジプトへまいりましょう。「ナイルの賜物」と呼ばれ、発展してきた国の料理をどうぞお楽しみに。

[Reference]
「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」沼野恭子編 東京外国語大学出版会
「しらべよう! 世界の料理⑥ 西ヨーロッパ 北アメリカ」青木ゆり子監修、こどもくらぶ編・著 ポプラ社
イタリア政府観光局(閲覧:2020年6月9日)
ピザ協議会(閲覧:2020年6月9日)
ホテルニューグランド(閲覧:2020年6月9日)

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