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第4回 トルコ・マントゥ

第4回 トルコ・マントゥ

2020/08/07

 黒海、エーゲ海、地中海に囲まれ、古くから「東西文明の十字路」として栄えてきたトルコ。この国の食文化は、東西様々な地域の影響を受け、豊かに発展してきました。今回は、中央アジアの水餃子が起源といわれる料理「マントゥ」をご紹介します。

餃子にヨーグルト⁉ トルコ風水餃子・マントゥとは

 マントゥとは、小麦粉で作った生地に、ひき肉を詰めてゆでた、水餃子のような料理です。にんにくをきかせたヨーグルトを、パプリカパウダーやバターと一緒にかけて食べます。ヨーグルトといえば、日本では甘いデザートとして食べることが多いため、あまり味の想像ができない料理かもしれません。しかし、トルコでは、ヨーグルトはソースやスープなどに使われ、様々な料理で大活躍。1人あたりの消費量は、トルコが世界一ともいわれています。

 もともとトルコの人々の起源は、中央アジアに住んでいた遊牧民です。彼らが遠く離れたアナトリア(トルコの都市・イスタンブールより東側の地域)まで移住してきた際に、遊牧民族の食文化を持ち込んだとされています。その代表的な例がヨーグルト。トルコが発祥といわれ、トルコ語でヨーグルトを指す「ヨーウルト」がそのまま語源となったそう。また、マントゥも遊牧民が中央アジアから持ち込んだ料理ですが、トルコのマントゥは中央アジアで食べられているものより、サイズが小さいのが特徴です。

ヨーグルトの発祥地・トルコってどんな国?

 トルコは面積約78万平方メートル(日本の約2倍)、人口約8200万人(2018年、トルコ国家統計庁)を誇る国です。国民の多くがイスラム教徒ですが、キリスト教ゆかりの遺跡も数多く残されています。中でも有名なのはカッパドキア。火山の噴火と浸食で作り上げられたこの場所は、初期キリスト教の教会・住居として使われていました。


世界遺産にも登録されているカッパドキア

 トルコの西方に位置する都市・イスタンブールは、オスマン帝国時代(1299~1922年)の歴史を体感できる街。貴重な建造物を見ることができるだけでなく、帝国時代に発展していった宮廷料理も楽しめます。
 オスマン帝国の宮廷では、世界各国から選び抜かれた食材を取り寄せ、手間暇をかけて料理が作られていました。そこで編み出された複雑な調理法や、洗練された宮廷料理の伝統は、現在のトルコ料理にも影響を与えています。


15世紀に建造されたトプカプ宮殿。この宮殿で宮廷料理が洗練されていきました。

 宮廷料理は、ナッツやドライフルーツを多く使った、ヘルシーな料理が中心だそう。イスタンブールには、当時のレシピを忠実に再現した宮廷レストランもあるので、いつかトルコを訪れたときには、マントゥはもちろん、宮廷料理もぜひチェックしてみてくださいね。

 さて、トルコ料理を思う存分楽しんだ後は、北欧へまいりましょう。あの有名な映画にも登場するペストリーでほっと一息。次回もどうぞお楽しみに。

[Reference]
「しらべよう!世界の料理④ 西アジア アフリカ」青木ゆり子監修・著、こどもくらぶ編 ポプラ社
「トルコ料理大全」メフメット ディキメン著 誠文堂新光社
外務省 トルコ基礎データ(閲覧:2020年8月5日)
トルコ共和国大使館・文化広報参事官室「トルコが誇る18のユネスコ世界遺産のご紹介
(閲覧:2020年8月5日)

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